読書:「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」と「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」の読み比べ

難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

Prime Readingで両方とも読み放題だったので読み比べてみた。前者は2015年出版、後者「図解~」は2017年の出版。

以下、2015年版を「無印版」、2017年版を「図解版」とする。

ざっくり本の内容

  • 投資やったことないけどお金増やしたい!でもどうしたらいい!?という主人公(?)=聞き手役に、お金のプロ=解説者が色々説明する、という形式の本
  • 国債って何ですか?」から、NISAでインデックスファンドを買うところまでと、それを行うために必要な投資知識の解説
  • 全く知らない人の「なんか怖い」という不安の排除と、「めっちゃ儲かる」という幻想の排除のために、現実的なことが色々書いてある。
  • 「FXもREITも金もやらないよ」と最初のほうで出てくる。
  • わりとやわらか系

内容の差はあるか

大筋の内容は同じだった。図解版は「図解版」というよりは「第2版」に近い印象。

知識として得られる情報にほとんど差はなし。図解版で大きく内容が追加されているという事もなかった。NISAの金額が100万円から120万円になったため、その部分は修正されているが、説明部分は一緒だった*1

文章は語尾や言い回し含めてほぼ変更なし。図解でない版でも漫画風の挿絵はあったが、図解版ではこれが書き直されている。各章の要約をするように図の部分が少し詳しくなった。ただし、新規に追加された図はあまりなかったので、「文章より図がメインになった」という事もなく小幅な変更と感じた。

相違点

大筋に変更はないが、細かいところで違いがある。少し面白みのある寄り道話は図解版でいくつか減っていて、代わりに図の部分がボリュームアップしている。無印版は聞いたままの会話に近い印象で身近に感じるし、図解版は教科書の様に、知識を得られる部分だけに整理しなおしているという印象も受ける。無印を読んで図解版を読むと「あの部分、面白かったのに削除されたのか」「絵の部分がよくまとまってる」と思うかもしれないし、図解版を読んで無印を読むと「え、それはちょっと余談過ぎないか」「図がシンプルだな」と思うかもしれない。どちらが良いかは好みの問題だと思う。

以下、目についた違いの列挙。

  • 「はじめに」の章が無印版では文章だったが、図解版では漫画になっている。
  • 絵の違い(挿絵の担当が変わっている)。無印版では帯にいる線目の青年が聞き手だったが、図解版では顔が大きく変更されている。
  • 見出しの違い
    • 章見出しが細かくなった?
    • 無印版は大橋氏が実際に投資信託を買う流れに合わせて「国債を実際に買ってみる」「いくら投資するか決める」という、やや一人称寄り、能動態な見出しで書かれていた。図解版は「~ですか?」などの疑問形の見出しに統一されている。これにより、先生に生徒が聞くような印象に変わったように思う。
  • 国債金利周辺の話
  • 無印版では10年国債金利0.3%だったが、図解版では最新の0.05%に合わせて解説が書き直されている。
  • 国債(単利のはず)の利率を複利72の法則で語っていた(「2倍になるには240年かかる…」とがっくりする)個所があったが、ここは削除になっている。
  • 時事ネタの変更
    • 「ピケティって何?」というコラムがあったが削除され、「マイナス金利の時は~」「北朝鮮がミサイルを撃ってきます」というコラムが追加されている。
  • ジョークの削除
    • ジョークのうち、辛口な(好みの別れそうな)ものが図解版では削除されている。 「風邪ひいたときに首にネギを巻くぐらいの気休め」 「ハイリスク・ハイリターンの投資」のコラムに「潰れかけている会社の株ややっぱりジンパブエみたいなやばそうな国の通貨ですか」というジョーク(速攻否定される)があったが削除されている。 *「結婚は得か?」の章で、無印版はオチが少し長かったのだが、図解版は「上手いこと言わないでください」で終わる。
      • ギャンブルについても短縮された。
      • ジョークが全部消えたわけではなく、トレーディングのことを「戦闘機に乗って空中戦をやるようなもの」と言う部分などは残っている。
    • 個人的に「勿体ない」と思う変更だが、笑いのセンスは人によりけりなのでどちらともいえない。
  • LTCMや「スパゲティー理論」の話がなくなっていた。
    • 個人的にはLTCMの話で「未来のことは分からない」という事に納得できたのだけれど、インパクトが強すぎたのだろうか。
  • 「運用業界の不都合な真実(その1)」と「~(その2)」が入れ替わっている。無印版では「ファンドの過去の実績はあてにならない」が「(その1)」、「アクティブの平均がインデックスに勝ったことはほとんどない」が「(その2)」だった。図解版では「ファンドの過去の~」の前後の文章がなくなったため、登場順が入れ替わっている。
  • 無印版には山崎元氏のあとがきがあったが、図解版には無い(個人的には図解版にも新しいのが欲しかった)。
  • 値段の差。1518円と1078円。ほぼ同じ内容なら安いほうを買うのが合理的?:-)

まとめ

合理的に考えると図書館や電子書籍読み放題で入手するのが一番お得です。細かい差はあるが、大筋の話は同じ、図解版で大きく内容追加もなかった。どちらでもいいので、試し読みをして、その時の売値に納得できれば*2それで買っていいのではないかと思う。

*1:無印でも「2016年から120万編に変更される」と注釈は入っている

*2:新品なら低下だが、流通している書籍は新品とは限らない