朝日新聞 2022年7月9日朝刊

ネットの断片的な情報だけだと、どうしても気になってしまうので、図書館へ確認しに行った。

安倍元首相の話題一辺倒だった。

読んだ内容と感想の箇条書きをサッと書いておこうと思う。

※画像が無いと分かりにくい部分には新聞の写真を引用する。

17面: (インタビュー)政治とテロリズム 政治学者・御厨貴さん

  • 歴史上の事件に比べ、近年は首相経験者がテロに遭うことが少なくなってきていた。 ++ 「国の指導者を殺せば国が変わる、という考えが割に合わない」という考えが定着したから
  • 議会制民主主義が、そういう考えを作り、実践してきたから
  • テロリズムの起こりにくい国を作ってきたことは評価される
  • 日本の議会制民主主義の業績を評価し、民主主義を守る決意を示すことが大切。
  • どのような影響が出るかはまだ分からない。ロシアとウクライナも「そんなことはあり得ない」と思われてた
  • 間違っても、歴史の針を逆回転させてはならない

感想

過去の首相テロは、政治的思想での犯行が主だった、という観点での解説だと理解した。

今の報道によると、容疑者は「政治信条に対する恨みではない」と発言しているようなので、少し質の違う事件かもしれない。

その他の記事まとめ

  • 容疑者 41歳 奈良市在住 派遣会社の在籍
  • 5月まではフォークリフトを運転していたが、現在無職
  • 1999年 高校を卒業
  • 2002~05 海上自衛隊 海自は「本人の意思で辞めた」とのコメントを出している
  • 派遣会社の担当者の証言によると、その後はフィナンシャルプランナーや宅地建物取引士の資格を取得して、バイトや派遣で働いていた
  • 最近までフォークリフトの運転で働いていた。22年の4月に体調不良で退職を申し出た。会社は人手不足を理由に引き留めたが駄目だった。1か月の有休をとって5月に退職。「次の職はない」と言っていた。
  • 派遣会社の担当者の意見「口数が少なくておとなしい」「頭は良さそう」
  • フォークリフトの会社では「周囲と一緒に過ごすことが少なく、自家用車の中で昼食を食べていた」
  • 家の家賃は3万5千円(同じアパートの人の証言)
  • 母親が宗教にお金を使ってしまい、生活が苦しかった

  • 安倍首相は銃創2カ所、5cm間隔で並んでいる

  • 銃声は2回。2発目の音の後に首相は倒れた
  • 使った銃は、観客に「望遠カメラみたい」に見えていた
    犯人の武器と思われるもの。たすき掛けベルトにぶら下げていて、先端だけ銀色、残りは黒色
  • 写真を見ると、銃身(筒)が2個ついているように見える
  • 犯人を取り押さえる写真が載っていたが、背後の歩道にいる一般の人は、驚くでも逃げるでもない様子だった。よそ見をしている人も居た。

  • 元首相の来県が決まったのは前日(7月7日)。19時ごろにはTwitterで拡散されていた

感想

  • 銃身が2つあるので、2回の銃声はこれを1発ずつ撃ったのかと思う。
  • 1発目が逸れたのか、こらえて立っていたのか、詳細不明
  • 「銃がカメラに見えた」と証言があったが、画像を見たら納得した。また、「ぶら下げているだけだと銃に見えない」のが危険だと思った。SPの人も、あれが銃だと見抜けなかったのではないか。
  • 「銃のようなものを構えたのが見えた」みたいなよくある証言は無く「大きな音」「白い煙が上がった」でみんな事件だと気が付いている。武器のカモフラージュの意図があったか不明だが、風景に溶け込んでしまっていて、認識が遅れてしまったのかもしれない、と想像した。
  • 周囲の人は「何が起こったのか全く分かっていない」「状況が分からないから反応できない」状態に見えた。

  • 元首相が来ると分かったのが前日で、住所の大阪から奈良まで行ったのなら、計画性は薄いように思った。

  • 元首相は誰かの代理で急遽駆け付けたと聞いているが、本来は誰が来るはずだったのだろう?

  • 個人的に依然聞いた話だと、フォークリフトの資格試験はほぼ100%合格=誰でもなれるらしい

  • 宅建は合格率15~17%台。「頭は良さそう」という派遣会社の証言と矛盾しない
  • 高卒、派遣、家賃の安さから、収入の不安定さが心配になる。
  • 海自、フォークリフト、フィナンシャルプランナー、宅建と、分野がばらついていて、あまり方向がはっきりしない。とはいえ、手に職をつけるのとやりたいことが別、という可能性はある。

  • 犯行理由が、「母親の宗教に関連する人を狙った」と言っているので、政治的テロというより、怨恨殺人に近い印象を持った。 ++ 借金や近所トラブルを原因とした殺人事件の流れに似ている

  • hagexさんの事件がちょっと頭に浮かんだ。あれもブログの内容より「アカウント停止になった」という一方的な恨みの部分が強かった
  • 前半の「政治的思想によるテロは減ってきていた」と合わせると、今回は新しい方向での事件ではないか、という風に思う。
  • 知人も芸能人も政治家も同じTwtterアカウントで同列に並んでいる時代、「個人」としての情報発信も多い。
  • それが返って、恨みの対象になりやすくなったのではないか。…ちょっと飛躍な気もする。
  • 考察するにしても、首相テロは歴史ひも解いて10件程度の事例数なので、パターンで考えるのは無理そう。